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このところ日本の作品を取り上げてばかりいますが、今回も日本を代表するアーティスト、ユーミンこと松任谷由実さんの「時のないホテル」です。
まあ~毎度ですが、あまりに有名な作品であります。そこはホレ、このブログですから、洋楽FANがな~るほどと(思ってくれれば嬉しい)なるネタをご紹介。
森川、難波は別として個人的琴線に触れるメロが殊の外多いのがユーミンです。と言っても80年代までですが・・・・。
で、個人的にですが、ユーミンのアルバムの中で(80年代までですが)非の打ち所が無い傑作と思うアルバムが3枚ありまして、その内の一つがコレ。あとはデビュー作の「ひこうき雲」と「ノー・サイド」。で、それぞれの傑作の前後のアルバムもかなりの完成度があります。要するに山が3つあってその頂きをピークとして山成りに(個人的好みの高低ある)作品が並んでいると思っています。
1980年に発表されたこの作品の意義というか、作者の意図するところは実に興味深いです。
混乱の70年代を経て新たなる時代の80年代は日本においてはバブル経済に向かっての発展のスタート。洋楽的にはパンクに代表される既存旧来の音楽へのアンチテーゼの後を受けて暗くて重い音楽の排除の動きに加速がかかったかと思います。(テクノロジー的にもバンドサウンドから宅録~リズムマシン、キーボードの進化)。まさに軽チャーショック。軽薄短小がもてはやされる時代。ノー天気バカっぽい軽いノリが蔓延。行き着く先はバブル崩壊とヒップホップ&オルタナ(メロ軽視ダークな退廃的サウンド)の支配する全米チャート。
そんな時代に発表したあまりにシリアスでメッセージ色の強いアルバムです。ラヴソングも全て悲しい話。「時のないホテル」は異国の戦争を描いた作品、同様に「コンパートメント」「水の影」は自殺や人生がテーマ。
ハードロックやソウルと違って固定ファンが居ないと言われるポップスの世界で時代に「No」と言うのは勇気がいる事かと思いますが、すでにトップ・アーティストの地位に居たから可能だったのかもしれません。また、時代の移り変わりを危惧する姿勢は自分自身の為でもあり、啓蒙する使命を負っていたとも言えます。
当時の軽チャーに染まっていた世間はどう受け止めたか分かりませんが、世界は危惧した通りになったのは見事としか言いようがありません。
さてさて、本題の洋楽ネタですな。まずは「ホテル・カリフォルニア」。ホテルつながりですか?と言われそうですが、ホテル・カリフォルニアの歌詞に”YouCanNeverLeave”とあります。「時ないホテル」には”出ては行けない”とあります。ともに最後の歌詞です。つまりどちらももう”このホテルからは出ていくことはできない”。ホテル=国ということで、つまりは閉塞感。生き詰まった行政、先行き不安ってことでしょうか。「ホテル・カリフォルニア」から4年後の「時ないホテル」です。
次に「グランドホテル」。また、ホテルつながりですか?と言われますよね~。今度はプロコル・ハルム(”青い影”で有名な英国のグループ)です。ユーミンが大好きなミュージシャンです。プロコル・ハルム自体”ミュージシャンズ、ミュージシャン”と言われて、要は一般よりもアーティストに好かれるタイプと言うことです。
そのプロコル・ハルムの代表作に「グランドホテル」ってのがあります。そのタイトルソング聞いてください。
http://www.youtube.com/watch?v=9sJR4KzqSoo
「時ないホテル」の一曲目”セシルの週末”
http://www.youtube.com/watch?v=GmjiBzrRPpw
わかりにくいかもしれませんが、イントロのメロをパクっています。(チョットの上に音数を割って増している)
このイントロも間違いなく”意図的”だと思うんですが、如何でしょう。
更新日時 : 2012年08月04日 | この記事へのリンク :